耳コピまたは音楽のプレイアロング練習ソフトのまとめ (3) Melissa


前回はスピードだけ変えられるソフトを紹介しましたが、今回はピッチも変えるソフトです。

「音楽再生 スピード ピッチ 変更」とかで検索すると必ず出てくるのが Audacity というフリーウェアですが(Mac, Win, Linux版あり)、これはDAWであって、リアルタイムの再生スピード変更やピッチシフトはできません。リアルタイムでなければ、できます。DAWでもPro Toolsみたいな高級品ならリアルタイムでできるかもしれませんが、使ったことありません。

たまたま見つけてすごくよかったものに、FenderのRiffstationというソフトがあります。スピードもピッチも細かく変えられて、リピートの範囲指定も簡単(耳コピのためにリフを抜き出して保存できるから「リフ」ステーションらしい)だし、なんと勝手にコードネームを表示してくれます。だいたい合っているので驚きです。残念ながらこのソフト、ぼくがみつけた時たまたまフリーで提供されていて(本来は$35)「近い将来オンラインサービスとして生まれ変わる」と書かれていたのですが、いま情報が見つかりません。YouTubeの動画にコードネームをつけることまで構想してたようなので、出てほしいですよね。

しかし、最近いいソフトが開発されてるのを知りました。

Melissa

Mac, Win版あり。開発された方は日本人のようで、日本語マニュアルがあるところもありがたいです。スピードは1%ずつ、ピッチは半音ずつ変更できる。もちろん範囲を指定してループ再生できる。パラメトリック・イコライザーがついている(!)。イコライザーは、楽器の多い録音で特定の周波数だけ強調したいとか隠したいとかいう場合に使えます。練習したい曲のプレイリストを作ったり、各曲の練習部分のリストを作ることもできる。各曲を次に呼び出した時に各種セッティングが記録されていて、いちいち設定変更の手間がない。

波形を拡大できないので選択位置は細かく設定できるものの直感的でないとか、スピードを落とすと前回紹介したSound Visualiserと比べて音がカクカクする(75%なら大丈夫。50%は厳しい)といった弱点はありますが、将来が楽しみなソフトです。しばらく使ってみようと思います。

最後に言及しておくと、この手のソフトで古くから愛用者が多いのは多分 Amazing Slow Downer です。ちょっと値段が高いと思って、やや意図的に取り上げるのを避けましたが、高いと言っても、普通のパソコンソフトとしては安いので、興味のある方は試してみてください。

今回パソコン用のソフトばかり取り上げましたが、例えばiOS用ならmimiCopyというアプリがおすすめです。スピードを落とした際に音質の変化が少ないです。他にいくつか試してみましたが、音質の点ではこれが一番でした。ただ、iPhoneは音源ファイルの共有ができないので、いちいちアプリにコピーする必要があります。ぼくが初めて試したスピード/ピッチ変更ソフトはこれだったんですが、同じファイルを二重に持つことになるのがどうも嫌で、iPhoneで音楽の練習はあまりしなくなりました。

以上で連載終了です。

Martin Hayes and Dennis Cahill – Welcome Here Again
マーティン・ヘイズは曲をたくさん組み合わせたセットをよくCDに収録していますが(11曲、27分超ってのまである)、ここでは一曲ずつの演奏が多く、小品集といった趣のアルバムになっています。他にこのブログ記事関連の特筆点としては、収録曲の多くが、全音下げでチューニングされているとのこと。なんか音が低いなあと思ったらそういう理由でした。で、チューニングを変えるのが面倒な人はMelissaなどを活用しましょう。