2000年2月17日 渋谷ジャンジャン

(19:00〜20:45)

4月に解体されてしまうジャンジャンでのラビ最後のコンサート。
ジャンジャンでもう一度ラビを見ることができるなんて、一年前には予想もでき なかった。
今回のライブはジャンジャンの方からオファーがあったと聞くが、演劇公演の比 率が高く、しかも何人かの常連の歌手が11月頃から、ジャンジャンラスト公演と 冠したライブをやっている中で、終了間際の2月に出演できるなんて、小屋側の ラビへの思い入れに並々ならぬものがあるのではないかなどど、勝手に妄想を膨 らませながら地下へ向かう狭い階段を降りた。
開場時間5分過ぎには到着したのに、座席はすべて埋まり、すでに立ち見の状 態。やはり往年のファンというような年齢層が中心だが、若い人の姿もちらほら 見えた。

ライブは田川律が登場して始まった。ラビのデビュー前、田川がプロデュースす るような形で、定期的にジャンジャンでライブを行っていて、今回は最後だから それを思い出しながらというような説明があって、その後生ギターをかかえてラ ビが登場。
ラビも、ジャンジャンは新しい歌ができるととにかくここでやってみるという場 であったことを語るが、田川が「客は30?40人しかいなかった」とか「毎月同じ 客だった」とか言うので、それはデビュー前の話でデビュー後は客席は埋まって いた、とラビが付け足す場面もあった。

田川との会話を挟んで弾き語りが3曲続いたのち、(2曲目の「13円50銭」では、 ラビにしては珍しく曲の背景を説明していた)バンドのメンバーが登場し、いよ いよ本編の開始。この日のバンドは、いつものメンバー+ベース(fromチナキャ ッツ)という編成、石井K介がグランドピアノを弾いていたせいもあって、ドラ ムスがなくても音が基本的なロックバンドのアンサンブルになっていた。「愛の レッスン」以降はラストまでサックスの川下直広(渋さ知らズ等)が加わって、 それは一層強化された。(PAのせいもあったのかもしれないが、その分太田恵介 のフィドルが引っ込んでしまったのが残念だったが。)「会えば最高」を再発し たのなら、ライブでぜひ聞きたいと思っていた「ダウンダウン」「夢の島の王 子」が久しぶりに聞けて嬉しかった。

冒頭の会話の中で、田川が今のラビは昔より声が出ている、と言ったことに対し てラビは、「今はプロという立場ではないから、気持ち良く歌える」というよう な発言をしていた。以前は、何かに追いかけられているような気持ちで音楽をや っていたそうだ。ファンとしてはまた新譜を出して、定期的にライブをやって欲 しいとというのが望みだが、プロとして歌うことで、精神的に削り取られてしま う部分があるのなら、今のように請われれば出てきてその時自分が歌いたい曲を 歌うというのが、一番良いのかもしれないと思った。

本編最後の「グッバイ上海」では、いつもの振り付けとともに、「グッバイ・ジ ャンジャン」なんて歌詞を替えて歌っていたが、さすがラビ、変な感傷など微塵 もなく、懐かしさなどどいうものとは無縁な今現在のラビをみせてくれた。おか げで、20年も通った(後半の10年は2-3回しか行っていないが)ジャンジャンが 終わってしまうのかなどどいう私のつまらない想いも消し飛んで、とても爽快な 気分で帰路につくことができたのであった。

1. 眠れない夜 2. 13円50銭 3. ひらひら 4. さわれますか 5. ダウンダウン 6. 昔の知恵は今滅びてく 7. 夢の島の王子 8. エントツと煙 9. ウーララ 10. コ ーヒータイム 11. 愛のレッスン 12. スローモーション 13. 夢のドライブ 14. 銀と白 15. ノスタルジィ 16. グッバイ上海 // E1. いいくらし


松沢明彦. 2000.02.26投稿

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