2000.6.18 吉祥寺スターパインズ・カフェ

会場は超満員。余裕を持って早めに着いたつもりでも後方で立見となり、人の 密度が高く、ステージはかなり見にくかった。私の周りにはラビのライブは20年 振りだと話している女性グループが居る一方、20代と思しき男性の姿も少なから ず見られた。

今回のラビのステージはいつに増して曲間のMCが少なく、チューニング等の間 もなく(ラビのギターにはテクニシャンが居た模様)、バックミミュージシャン も息を継ぐ間もないくらいの速さででアンコールも含めた19曲を2時間弱で一気 に演奏していた。

そのバックミュージシャンは予告されていたように、サックスの川下直広を除 いて今回一新されており、リズム隊プラス、ギター、キーボード2人という編成 でわかるように、ロック色の強いものとなった。ロックバンドではあるが、70年 代的なオーソドックスさをあまり感じなかったのは、パーカッションの山口トモ の小さなタムやシンバルを効果的に使う時としてテクノっぽいドラムスによると ころが大きかったと思う。もちろんそればかりではなく、小川ヒロのベースもサ イケ風であったりレゲエ風であったりと曲調に多彩な色合いをつけていたし、 『スローモーション』の長いイントロでみせたインプロビゼーションともいうべ き演奏は、特にサックス、ギター、パーカッションの出自を垣間見ることができ るような気がした。選曲的にはドラムスが入ったバンドでの演奏を意識したの か、これまで演奏されていなかった「女です」に入っている『あてのない一日』 や『こころがけ』が聞けたのは嬉しかった。また、このところの定番曲もスピー ド感を増したアレンジに変更されているものが多く(例えば『銀と白』や『ドア をあけて』)、前のバンドより、個人的にはこちらの方が好みかなと思う演奏が 多かった。

ラビの歌・曲を含めたこのバンドの音は、今最前線で活躍しているアーティス ト達に見劣りしない素晴らしいものだった。本人は好きな時に歌っているといっ ているが、今回の編成を見ると、理想とする音を出すためにかなり準備に手間を かけているラビの「プロ意識」みたいなものを強く感じた。このバンドがこれで 終わってしまうのはもったいないが、今後さらに、例えばもっとシンプルな形で 例えば3ピースの若手バンドをバックにする等、いろんな形にもチャレンジして 欲しいと思った。

昔のライブでもきいたことなかった冒頭の『念仏ぐらし』の弾き語りと、3曲 目の『やらないか』の途中で、バックバンドノメンバーが一斉に音をだす瞬間 を、今でも折に触れて頭の中で反芻しています。

メンバー : ギター 加藤博之、ベース 小川ヒロ、ピアノ 高橋誠一、シンセ+ア コーディオン 森英治、パーカッション 山口とも

1.念仏ぐらし 2.眠れない夜 3.やらないか 4.困った女 5.ダウン・ダウン 6.夢 の島の王子 7.昔の知恵は今滅びてく 8.あてのない一日 9.こころがけ 10.コー ヒータイム 11.愛のレッスン 12.スローモーション 13.ノスタルジア 14.銀と白 15.夢のドライブ 16.たいへんだあ! 17.グッバイ上海 // E1.ドアをあけて E2. いいくらし


松沢明彦. 2000.07.19 投稿

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