2000.10.07 京都・都雅都雅

関西での単独公演は15年ぶりだということで、満杯の客席にもラビ自身にもかなり緊張がみなぎっていた。
オープニングは弾き語りタイム。京都はラビにとっての思い出の街だということだ。長いこと会っていなかった知人がステージからも見えるらしく、歌詞を忘れてしまう場面もあった。「むかしは女ディランっていわれたんですけど、最近は女・三上寛っていわれて」と笑いをとっていたが、確かにボーカルの雰囲気は負けてない(?)。あと、ギターがもうちょっと勢いがほしいところ。ラビの弾き語りは調子の善し悪しがはっきりしているように思うのだが、この日はあまり本調子とは言えなかった。

しかし「やらないか」ではじまるバンドタイムでは、現在の彼女の本領を発揮した。現役時代からバンドが変わるごとに過去の曲を色々なアレンジで演奏していたようだが、今回の「ラビ組」も面白い。
オーソドックスなロックスタイルのギター、ベースと、ニューウェーブ経由・テクノもできそうなキーボード、ドラムスの対比が、曲に新しい印象を与えていた。例えばこれまで大げさなハードロック風だった「銀と白」は、ポストパンクの味さえ感じられるスタイルになっていたが、これは山口とものドラミングに負うところが大きい。カリビアン風のリズムに変身した「グッバイ上海」はほんとうに気持ちよかった。
バンドがこれだけ遊べるということになると、「スローモーション」「ノスタルジィ」といったシアトリカル(だと思うんだけど)な曲目をレコード通り再現したことはかえって場違いに感じたのだが、どうだろうか。

最近のインタビューでラビは、むかしの曲は宝の山であって、当時うまく歌えなかったような曲もいま歌ってあげられる、というような意味のことを言っていたが、それは新しいバンドの演奏を得てこそ、という部分もきっとあるのだと思う。これからのラビとラビ組が楽しみだ。

なお今回、おそらく主催者の要望だと思うが、曲目を書いたパンフレットが配られた。セットリストが配られ、そのまま歌うというのは初めてだということで、「なにか逃げられなくなってしまった感じがするんですけど」などとラビは言っていた。「夢の島の王子」が演奏されなかったことと、どこか曲順が違うところがあった他はほぼリスト通りだったのだが、ややぎこちなさを感じる部分もあった。

ラビ組:中山ラビ Vo, G, 小川ヒロ B, 加藤博之 G, 高橋誠一 P, 森英治 Key, 山口とも Perc.

セットリスト:(ソロ)念仏ぐらし/眠れない夜/その気になってるわ/人は少しづつ変わる/(ラビ組)やらないか/困った女/ダウンダウン/夢の島の王子/昔の知恵は今滅びてく/あてのない一日/川にそって/コーヒータイム/スローモーション/ノスタルジィ/銀と白/夢のドライブ/たいへんだあ!/グッバイ上海
アンコール:ドアをあけて/いいくらし


(2000.11.05) 中山 貴弘

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