ラビ・もうすぐ

4th「もうすぐ」のジャケットは、多分ラビがモデルの、写実的ではない肖像画。大正浪漫的な雰囲気。内容はすべて本人のアコースティック・ギター弾き語り。ぼくはこのアルバムが一番好きだ。

ラビは69年頃に東京を家出して京都でフォークの運動に関わった人なのだそうだが、はじめはボブ・ディランの影響を受けたという。その雰囲気は、72年発売のファーストにも既にほとんど感じられない。URCレコードの「関西フォークの歴史」に収められた最初期の作品はまさに女性版ディランそのものなのだが、アルバムではこの 4th にはじめてその感じが表れている。

A-2, B-5 などのユーモラスな演奏もいい。 そして B-2 は得意の語り物。一部台詞の言い直しや最後にギターの弦の切れる音まで録音された生々しい怪演となっている。これがCD化されていないのはまったく理解できない。もちろんファーストと 5th もだが。


(1997.11.25, 最終修正 98.12.24)

中山 貴弘

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