99.3.7 西荻窪BIN SPARK

 奇しくもライブハウスとしては初めて中山ラビを見た西荻ロフトのすぐ近く、 同じ程度の広さの場所で実に久々ラビに再会した。もっともPA装置などは当 時とは雲泥の差で進歩していて、そんな面からも時の流れを感じてしまったけ ど。ラビさん自身は13年ぶりと言っていたし、確かにレコード会社を移籍して からプロモーション活動としてちらっとやっていた−−私は確か渋谷のパルコ のフリースペースで1度見た記憶がある−−ものの、本格的なライブ活動は80 年代前半or初めから中断していたので、もっと間が空いていたことになる。

 空白期間全くと言っていいほど歌ってなかったとのことだし、続けて活動し ている歌手でも年齢と共に声などが自ずと変化してしまうのを体感しているの で、ラビはどんな風に変わっているのだろうか?と待ち受けていた。

 しかし最初の「眠れない夜」の歌い出しを聴いた瞬間、その空白がつながっ たと言うのか、以前と全く変わらない声質にまず吃驚した。いや変わらないと 言えばその前のイントロのギター・ストロークぶりも全くラビで、それを聴い た瞬間に懐かしさを覚えたというのがより真実であるが。

 前半4曲が弾き語りを基本にしたフォークシンガー時代のラビ、それ以降が バンドスタイルのステージ。少なくとも『MUZAN』より以前のラビが正し くアーティストだったとすると、今回はある種のエンタテナーとしての要素も 感じられ、だから後半の中心ナンバーだった「愛のレッスン」や「グッバイ上 海」等後期の曲が、どうも「木に竹…」の印象があったその当時よりかなり馴 染みやすかった気もする。勿論エンタテイメントと言ってもラビ流のぎこちな さ・硬派さを含んだものであり、この日のような狭いスペースでの熱心なファ ンには兎も角として、どれだけ一般に拡がっていけるのかかなり疑問があるこ とも確かではあるが。

 個人的にはやはり前半部に感情移入してしまったけど、まあそんなに難しく 考えずにラビなりに好きにやってくれれば良い、と言うのが今の私的感想。で もギュウギュウの立ち見だった−−椅子席は招待席を入れて30程しか無く、電 話予約しててもそうだった−−ので、そう若くはない身には疲れたのも実感。 本人にも挨拶できなかったし…

@T.K.生. 1999.3.12投稿

レビューページに戻る