1999.7.10 フォークキャンプコンサート(円山音楽堂)

金髪の中川五郎が次の出演者を紹介した。「歳をとると髪の毛が不思議な色に変わるんですね」。客席後ろの方の日陰で見ていたぼくは、その声で走って前方へつめた。金髪のラビが登場した。

きょうの服装は、黒の大判スカーフ(本人は「ハンカチ」といってたけど)を胸に巻いて、カットオフのホットパンツ(オフ白)、杢灰色のソックスにサンダル、というものであったのだが、登場して開口一番「暑い!」。ステージ後ろの長椅子に控えている出演者から「暑けりゃ脱げ」という声が上がると、「これ以上どう脱げと言うのか」と応じるラビ。「太陽の下は苦手」というようなことをいいつつも、解放感が感じられた。本日の露出度ナンバーワンであった。

という話はさておき、「何年ぶりかで」から演奏がはじまる。バンドなしで、ギターを弾きながら淡々と歌う。澄んだ声が、すりばち状の音楽堂によく響いた。「その気になってるわ」「人は少しずつ変わる」と、しっとりした弾き語りの演奏が続くが、一転してギターストロークが激しい「さわれますか」、そして最後に、豊田勇造のギターと男性パーカッショニストが参加しての「夢のドライブ」。短い時間ながらも充実したライブだった。

こうして他の出演者に立ち混じって見ると、ラビの個性はさらに際立つように思えた。30年ぶりのフォークキャンプコンサートということで同窓会的な雰囲気があったこのライブ、彼女の出演あたりで一挙に緊張感が増した。彼女の歌はとても個人的なものであって、聴くものも個とし向かいあう必要があるからではないだろうか。イベントが終わってからもラビの歌声は余韻を残した。


(1999.7.20)

中山 貴弘

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