2000.1.16 段上西小学校&兵庫中学校*

あいにく小雨のぱらつく天気で、西宮甲東園の段上西小学校では校庭に組んでいた機材を急遽体育館に移してのライブとなった。モノノケが体育館で演奏するのは結構久しぶりで、しかし震災直後にはよくあったと中川。パイプいすが並べられ、おばさんたちが座っている。ぼくも含めてファン達は体育館の壁に沿って立ってみている。震災5周年ということで、報道関係者がたくさん目についた。バンドは体育館のステージ(?)の部分ではなく床に並んでいる。メンバーに加え、大熊亘、チンドンはこぐれみわ、平尾幸世、中西智子の3人。初参加の中西さんは前日はじめてチンドンを持ったということだった。

今日のコンセプトは初期に戻ることだそうで、「カチューシャの唄」「ハイカラソング」、かなり久しぶりに聴いた「貝殻節」(アランペニはなし)などが演奏された。雨のせいか室内のせいか、全体的に静かな曲目が多く、96年に障害者福祉センターで見たライブを思い出した。ヒデ坊がこれも久しぶりに避難所の日本刀おやじの話をしていたのも、最初の頃を思い出してのことだろうか。短い演奏時間だったが、おばさんたちの反応も好意的でしみじみと充実したライブとなった。

会場をうつして、神戸兵庫区の兵庫中学。雨はぽつぽつと続いているが中止にはならず、校庭でのイベントがすでに始まっていた。4時からおーまきちまき&のむらあき、続いてモノノケが登場する頃には本降りになってきた。日も暮れてきたしかなり寒い。アップテンポの曲でもりあげようとするが、寒さのあまり中川は歌いにくそうだった。

「ありがたや節」(これまた久しぶり)が演奏される頃にはあたりはまっ暗だった。スタッフが車のヘッドライトでステージ周辺を照らしてくれたが、暗い校庭の隅でなにやら人が集まって、「外から見たらヘンやろね」とヒデ坊。残念ながら雨のせいか付近住民らしき人がみあたらないことと、あまりの寒さと暗さでぼくとしては盛り上がれないライブだった。

ふるえながら、ぼんやり「震災から5年」ということを考え続けていた。「もう5年」というより「まだ5年?」に近い感覚。5年を機に思いを新たにするというよりは「10年後はもっともっと遠く感じられるのだろうか」という既視感。事件というのは起こったことよりもその後の日常の方がずっとしんどいものなのだと考えつつ、6年目の活動に入ったモノノケへの尊敬と、自分はこれから何をしようかという迷いが同時にあった。

2000.1.23 中山貴弘

魂花レビュー