2000.05.14 JR元町駅前*

この日市長リコール運動が行われたJR元町駅周辺はいくぶんものものしい雰囲気だっ た。 駅からすぐ近くの元町商店街入り口で共産党が演説をしており、それを妨害しにきた 右翼団体の装甲車がハンドマイクでがなりたてていたのだが、ついでにリコール運動 も共産党と思いこんでいるらしい彼らは駅前まで隊列を組んでやってきたり(実際に は共産党は今回の運動から離脱)その警備のためにきたのであろう機動隊の車が通り 過ぎたりした。

ステージではまずおーまきちまき&のむらあきの演奏。おーまきはこのリコール運動 の受任者(署名を集める人)代表ということだった。「いくら私たち(運動の主催者 )ががんばっても30万の署名なんかあつまりっこないんです。みんなの力がないと無 理なんです」という柔らかいアピールが印象的だった。

おーまきに続いてモノノケが出演。 メンバー4人プラス中西智子さんのチンドンというスタイルで、 ヒデ坊はチンドンを持っている。 会場周辺の雰囲気に刺激されてか、中川は開口一番「政治結社ソウル・フラワー・ユ ニオンです」と調子がいい。神戸で演奏する彼らはたいてい上機嫌だが、今回はさら に輪をかけてノリがよかった。「聞け万国の労働者」で客が盛り上がるのをみて「なんか独 特の雰囲気があるなあ」としみじみつぶやく中川。 なんでも「満月の夕」に出てくる飼い主をなくした柴犬というのは、ちょうどこの元 町駅の交差点あたりをあるいていたのだそうだ。

20分ほどの演奏のあと休憩があり、メンバー達は駅舎にあるパブに入っていった。し ばらくしての第二部、司会者にマイクを向けられた中川は「おれらの主張はCDを買っ てくれといういうことやね」を連発。「東京節」では「神戸の名物開発事業」で山の イノシシがぐちをこぼすという替え歌を披露した他、通りがかりの警官(いちおう巡 回警備していたのであろう)をやや挑発的に目で追いながら「警察の人もおれらの歌 ききにきてんねんな」などと発言、どうも少し(かなりか)酔っているらしい。 第一部でややPAが不調だったとか、第二部で「復興節」のイントロのチンドンがずれ てずっこけたりとか、そんなことにはお構いなしに、かなり気分がよさそうな演奏を 聴かせ、通りがかりの人も立ち止まらせていた。 最後の「さよなら港」は「さよなら市長」と歌詞を変えて歌い、ステージは幕となっ た。最後に客席に向けて「後で後悔せんようにいま署名しといてよ」と言った中川に うながされてか、若い子達が背中を押し合って「じゃ署名しよか」と言っていたのが いい感じだった。

なお、このリコール運動は結果的に不成立となった。2度の住民投票運動が無視され たことで、市民にある種のあきらめムードがあったこと、市長リコールということに なると代役を立てる必要があるため運動から離れたグループがあったらしいことなど が主な原因かと思う。しかし空港建設ごり押しの矛盾はこれから目に見えてくるであ ろう。

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曲目
第一部:美しき天然/聞け万国の労働者/アリラン/満月の夕/がんばろう
第二部:お富さん/有難や節/六甲おろし〜インターナショナル/ 復興節〜東京節/さよなら港

2000.4.5 中山貴弘

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