2001.09.21 ビッグキャット

SEが変わって「スピリッツ・リジョイス」のファンファーレとともに登場。一曲目「フーテンガール」以下、前半はニューアルバムの曲が次々と演奏されていき、結局アンコールを含めるとアルバム全曲が演奏された。

ライブで練り上げた曲をアルバムに入れるため、アルバム発表時のライブでは既に新しい段階へ行ってしまう彼らにしては異例である。しかし各種イベントやニューアルバム効果か、新しいファンで満員の会場を見ると、このやり方は正解だったのではないだろうか。

ゲストは山口洋と内海洋子。山口は「東京シティ・ヒエラルキー」、洋子は「デッド・フラワーズ」「テルママ」でリードボーカルをとり、それぞれ中川との新ユニットとソロライブの予行演習的な感じをうけたが、これもご愛嬌。

山口参加でギターサウンドは分厚くなったし、「海行かば〜」では久しぶりにチャンゴのヒデ坊とチンドンの洋子が並んで立つほほえましい絵が見られた。何よりゲスト二人を加えた「満月の夕」がすばらしく、終演後友人達はそろって「あらためていい曲だと思った」と言っていた。

演奏面では、これも初のソロライブをひかえていた奥野が快調だった。前日の福岡でキーボードを落とす勢いのワイルドモードに入っていたらしい彼が、インターミッションの「アンチェイン」(山口がハープで参加)では非常に優しい演奏を聴かせた。そして「平和に生きる権利」はこれまで大熊のクラリネットの印象が強かった曲だが、それを補って余りある本当に美しいピアノプレイであった。

ニューヨークのハイジャック機特攻テロというショッキングな事件の直後で、中川のMCはそれに触れず意外にことば少なだった。MCの代わりにアンコールが「平和」「NOと言える男」そして「海行かば」だったのはミュージシャンらしい意見表明かなとも思いつつ、東京でひと言コメントがあったらしいところからすると、この日はただただ宿酔いだったのかもしれない。

セットリスト:
Go Go フーテンガール/サヴァイヴァーズ・バンケット/殺人狂ルーレット/世紀のセレナーデ/ダイナマイトのアドバルーン/オーマガトキ/野づらは星あかり/夏到来/デッド・フラワーズ(内海洋子)/トーキョーシティヒエラルキー(山口洋)/キャラバンに恋唄/満月の夕/アンチェインのテーマ/クレイジーラヴ/マージナル・サーフ/風の市/荒れ地にて/テル・ママ/エエジャナイカ/en1-1 平和に生きる権利/en1-2 NOと言える男/en2-1 海行かば山行かば踊るかばね

2001.10.26 中山 貴弘

魂花レビュー