970201 Abiko by Honda 97.02.01 あびこ発胡散無産ライブ

開場時間ぎりぎりにライブ会場である関西研修センターについたのですが、結構入場者の列があり、驚きました。今年初めてのライブ、週末、ということで、遠方からいらっしゃった方々もいたようです。若者(子供)からご老人までと幅広い客層でした。

モノノケサミットの演奏の前に二つ出し物がありました。一つ目は地元の男子高校生七人による残波大獅子太鼓で、会場一杯に響き渡り、連続するリズムになかなかGROOVEを感じさせらました。特にリード太鼓(?)の少年(キンキキッズの堂本剛をかっこよくしたような)の太鼓ソロはロックスピリッツ溢れるものでした。髪を染めたり、ピアスをしたり、とハヤリっぽい雰囲気のする若い彼らが(私も一応ヤングですが)伝統芸能的なものを古臭い、と封印せず、このように生き生きと現しているのが嬉しかったです。二つ目は、旭堂南海氏によるヴァイオリン演歌の披露。モノノケサミットで耳に馴染んでいる「東京節」、「復興節」、「ハイカラソング」などを演奏されました。しかし、しゃべりの見事さに比べ、余りに劣る歌・演奏だったのが附に落ちなかったのですが、後で本業は講談師だと知り、納得しました。

本編のライブはクラリネットの大熊亘氏、フィドルの高木光介氏をむかえたモノノケサミットの演奏に加え、ゲストのシーサーズ、趙博氏のコーナーも挟まれ、変化に富んでおり、あっという間に時間が過ぎていきました 。シーサーズは女性ボーカル二人という特徴を生かした選曲・編曲で、自前の踊り子さん(エイサー隊の方二人)も参加した見ごたえ・聴きごたえのある演奏でした。趙博氏は、御馴染み「橋」を披露されました。また、シーサーズ、ヒデコさん、中川氏がかわるがわる歌う「新・安里屋ユンタ」や、久しぶりの「だんじゅかりゆし」、「ヒヤミカチ節」など、この日の顔ぶれならではの曲が聴けて、とても楽しかったです。欲をいえば、趙博氏も参加されてたのだから一緒に「トラジ」、「蜜陽アリラン」なども演ってほしかった。

モノノケサミットの演奏もいつも通り気持ちの良いものでした。一曲目に、最近レパートリーに加わったナンバーの革命歌(農民歌、解放歌)をもってくるという珍しい始まり方でした。近くに解放会館もある会場地を考慮してのことかな、と聴きながら思いました。「美しき天然」、「アリラン」、「新・安里屋ユンタ」などは、会場全体の空気が音の色に染まっていくのが見える様でした。初めてモノノケを聴いた時(ソウルフラワーユニオンのライブのアンコールで)にも同じ感覚に襲われたのですが、空気が変わる感じが本当に気持ちよくて私はいつもモノノケサミットのライブに足を運んでしまうのです。

この日は、立ってライブを見るのが辛い人向けに会場の中程に椅子が数列ならべれていました。また、モノノケの曲を始める前に、中川氏から、会場の後ろから見たらステージが全然みえなかったので背の高い人は後ろに行くように、前の人達は中腰になるように、など色々提案が出されました。(私も結構後ろにいたのですが、本当に見えませんでした。)そして客席の後ろの方からの「みんな、座ろー」という呼びかけもあり(ヒデコさんの声やったような気がします)、結局立っていた人全員が床に座ることになりました。勿論その中には座ってライブを観るのは物足りない、という人も多くいたと思うのですが、ライブの最後の方の曲に「だんじゅかりゆし」などを用意し、“そろそろ立って踊っていいで”とお客を促すなど、いろんな種類のお客さんをそれぞれ満足させ、楽しませようという工夫が感じられました。ライブの初めに中川氏が、いい時間を作りたい、機嫌良く帰ってもらいたい、といったことを言ってはりましたが、 本当に皆がいい気持ちで家路につけるライブだったと思います。

本田彩子 fwht7884@mb.infoweb.or.jp 97.2.3

2/1の曲順
(うろ覚えなので、正確でない所もあると思います。)

   革命歌〜農民歌〜解放歌
→ 美しき天然
→ 聞け、万国の労働者
→ デモクラシー節
→ アリラン
→がんばろう
→満月の夕
→新・安里屋ユンタ
→シーサーズのコーナー
(といちんさ・耳切り坊主・春駒、などなど)
→竹田の子守り歌
→ちょ博氏のコーナー
   (浪曲・橋)
→インターナショナル音頭
→ありがたや節
→復興節
→東京節
→アンコール・だんじゅかりゆし
→ヒヤミカチ節
→アンコール・さよなら港

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