970216 Moriyama by Anzai 97.02.16 '97 セレブレーションコンサート in 滋賀

「阪神淡路大震災、被災者救援チャリティー HUMAN AID春爛漫’97 セレブレーションコンサートin滋賀」これが今回のコンサートの全題だ。春爛漫、と言うにはまだ少し早すぎるような冷たい空気の中、会場である守山市民ホールに到着。守山駅からどのバスに乗ればよいのか分からず、少々手間取り、結局開場時間ぎりぎりになってしまった。初めてここに来る人間が多いのだろうから、チラシにはもう少し丁寧な道順を書いてほしかったな、などと思いながらも、どうやら間に合ったのでひと安心。開場待ちの列で、後ろのおばさん二人組と少し話をした。わたし:「今日は、どなたかお目当てがあっていらしたんですか?」おばさん:「いえねー、少し若返ろうと思って来たのよー」んー。強いぞ。

入場してみて驚く。(「ホール」なのだから、まあ考えてみれば当然だが)椅子席だ。しかも広い。広すぎる。あとから聞いた話では、なんと1500人入るのだそうだ。ソウルフラワーに関して言えば、ホール大嫌い、なはずなのに。うーむ。

そんなことも含めて、今回、どのような経緯でこうしたコンサートを開くことになったのか、わたしは分からない。しかし、被災地から離れて暮らしている人々には、まだまだ”復興”は終わっていないのだということをきちんと知ってほしいと思う。そうした思いが、HUMAN AIDという言葉に表されているのだろう。(などと言いつつ、わたし自身具体的な行動を示せているわけではない。せいぜいこうしたコンサートに参加するぐらいのことしかできていないのだ。)ちなみにチラシには「このコンサートの収益金は、阪神淡路大震災被災地の障害者、被差別部落、在日定住外国人の皆様におくられます。」とのことわりがきがあった。

しかしいったんライヴが始まってしまえば、そんなことを考えている余裕など無い。ただただ純粋に楽しむだけだ。まずは、おーまきちまき&のむらあき&趙博。MCで震災のことに触れようとして、「何から話していいのか分からない」と混乱してしまったおーまきさんの表情が、つらかった。それを引き取って、のむらさんが被災地の現状について話す。長々としたMCなのに、ずっと会場はしんとして誰もが集中していた。パギーのブルースハープは、きっとみんなの心に染みわたったと、わたしは思う。続いてカオリーニョ藤原&彼のボサノムーチョ。何回か彼らのステージを見たことのある人にはすでにおなじみの「カッコウのうた」など、数曲の演奏のあと、いよいよ桜川唯丸師匠の登場。わたしのいた位置が悪かったのか、言葉が聞き取りづらく、その点ではせっかくの江州音頭もおもしろさ半減という気がしたが、まさしくド迫力!の唄声は快い衝撃だった。どっこいさのさー、っと。

そして待ってましたのソウルフラワー。2週間前にもライヴがあったばかりだけれど、それでもやっぱり熱くなってしまうのはわたしだけではないだろう。照明が落とされたステージ上に、白く光るこぶたちゃん(内海さんのチンドン太鼓についてるやつね)が入場してくるだけで、ドキドキしてしまうのだ。しかし思った通り、広い会場はステージまでの距離が遠く、初めはなかなか盛り上がらなかった。「もっと踊っていいからね」と、控えめな(笑)中川さんの煽りにも、困った困った、というような苦笑がぱらぱらと返ってくる程度。だが、悲しいかな人間、誘惑には勝てない。次第にそろそろと人々が立ち上がっていき、最後にはやっぱり狂喜乱舞となってしまうのは、何度観てもすごいと言うしかない。これぞソウルフラワーの魔法、だと思うのだ。聞け万国の労働者あたりに始まり、中盤のがんばろうともなると、気持ち良さそうな顔、顔、にこにこ。かくいうわたしも例外ではない。というより、率先して踊ってしまいました、と言うべきであろう。ははは。曲目としては、滋賀県でのコンサートということで初めてのお客さんが多いことを意識したのか、特別目新しいものはなかった(個人的には、久しぶりの貝殻節〜アランペニが嬉しかったが)。だが、そのぶんよくまとまった演奏となっており、久々に心の底から笑った気がしたのだった。

「ニッポンて何やねん?」正直言って、そんなこと言われてもなあ、と困惑してしまう。”ニッポン”に住んでいる”ニッポンジン”であるはずのわたしであるというのに、この問いに対する答えはいまだ出ていない。しかし、ライヴが終わったあと、隣りの女の子たちが話していたのが忘れられない。「初めてのソウルフラワー、どやった?」「さいこー!!」そうだよね、みんなそこから始まるんだよね、きっと。

アンザイカオリ lzh0031@ip.kuec.kyoto-u.ac.jp(1997.9まで) 1997.2.19

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