Cosmic Futen Revue in Osaka and Tokyo

97.05.01 大阪コークステップホール

昨年末以来待ちに待った、今年数少ないユニオンのライブである。そして今回「ニューエストモデル一日だけの再結成?!」ということでファンの期待も異様に高まっていた。ぼくは「ニューエスト」ってきっとヒデ坊と洋子がいないだけのメンツのことだろうと思っていたのだが、悲しいことに予想は的中した。

開演前のBGM(というかDJが入っていた)で「知識〜」のリミックスがかかると、たちまち客席が騒然となる。そして一曲目、「ソウルフラワークリーク」!。昔からのファンは狂喜していた。ぼくはなんか違和感を感じていた。「まじわってしまいなよ」という歌詞に、「そうだよな。むずかしく考えることないよね」とか思いつつどうもノリきれなかった。そして、この曲が終わると洋子・ヒデ坊退場・・・。「ソウル・フラワー・ユニオン内海洋子!ソウル・フラワー・ユニオン伊丹英子!」という中川のMCが空々しいと思った。メスカリン・ドライヴの間違いじゃないのか、なんていいたくなった。そして「復活したニューエスト」の演奏に大喜びする客席。なんか、「こんなもん、違う!」って叫んで帰りたくなった。ニューエスト時代の名作カバー、ぼくも大好きな「杉の木の宇宙」に涙が出た。ふきつける風から守ってほしい、というのがいまの中川の心境なのだろうかと。

驚きはまだ続いた。この「ニューエスト」編成で新曲が披露されたからである。これを書いている時点では、実はそれはそれでいいのだと思っているのだが、当日は首をかしげっぱなしだった。

この日うれしかったことは、「ニューエスト」で若い日々の記憶がよみがえったせいか(?)普段わりと地味な奥野・河村が派手なアクションで演奏していたこと、洋子のMCが強化されていたこと、「宇宙〜」でテクニックが数段進歩した太郎がフィーチャーされていたこと、だった。奥野などアナログ・シンセをひっくりかえしてしまうほどのハード・コア・パンク振り。ひっくりかえったシンセは音色の設定が変わってしまい「リベラリスト〜」のイントロはまことに妙な音を出していた。ついでに太郎の足にぶつかり、痛かったらしい。そう、2度のアンコールが終わる頃にはぼくもすっかりこの日の雰囲気になじんでしまっていたのである。

ちなみに客のノリはかなりすごかった。足からダイビング(?)している器用な人とか(すぐスタッフにくいとめられた)恍惚状態で横向きにダイビング(?)してる人(すぐスタッフに連行された)もいた。

97.05.08 新宿日清パワーステーション

中川、開口一番「こないだのコークステップは俺らのキャリアの中でも頂点やったかもしれん。もうあれ以上はないかも」などとなんとなくなさけない発言。「そんなことないよー」などと、東京のファンは温かだ。そして、ぼくはほぼ全く同じセットの1日と8日では後者がよかったと思う。1日はなんとなく全体的にチューニングが狂っているような感じがしたし、過渡期的な印象があったのだが、この日はビデオ撮りにふさわしくほぼ完璧、というか破綻ない演奏を聞かせてくれたからだ。

ただ魂花時報でメンバーたちが「1日は最高。8日もよかったけど、それ以上」といっているのを読んで、客席とステージではやはり何か違うのだろうかと思った。中川が神戸チキンジョージは音がいい、といっているのを聞いたことがある。大きな声ではいえないが、あそこは客席で聞く音は最悪と思う。うるさい。でも、ステージに返る音がとてもいい小屋なのだそうである。そういう温度差、みたいなのは常につきまとうのかもしれない。

この日は客席のいちばん後で見た。ビデオ撮りのモニターと本物のステージを見比べたりして思ったのだが、中川はフォト・ジェニックだ。いや、もちろんステージの中川もかっこいいけど、ビデオに映っている中川はほんとにかっこよかった。このビデオ、売れるかも??

ここで今の時点での自分の気持ちをまとめると、要するにソウルフラワーは変わり続ける同じものだ。メンバーが誰になろうと構わない。ユニオン結成当初のインタビューで「おれ(中川)とヒデ坊がアコギでデュエットしてもソウル・フラワー・ユニオン、洋子ちゃんが奥野の伴奏で歌ってもソウル・フラワー・ユニオン」というのがあって、しかしモノノケサミットでさえメンバーは全員同じだったりして、結束がかたいというか、別ユニットみたいなのがほとんどないじゃないか、あの発言は何だったのか、みたいなことを考えていたのだが、ヒデ坊の耳の不調というアクシデントによってではあるが、簡単にそういう状況になってしまった。

「家出のすすめ」は口だけじゃなかった。メンバー各々のソロ活動が報じられている今、ぼくはユニオンがすごくいとおしく思う。「中川ひとりでもソウル・フラワー・ユニオン」じゃなく、「家」としてのユニオンにまた会いたいなあと思う。家出した個々のメンバー達は、きっとひとまわりもふたまわりも成長して帰ってくるだろうから。家出して、出た先で家をつくって、また壊して、これからもいろいろ楽しませてくれるだろう。


本日のドリンク:

目のいい人の話によると、この日中川のアンプの上にはトマトジュースがのっていた。むかし愛飲していたのだそうだ。ぼくの知っている限りミネラルウォーターを飲んでいたみたいだったが、こんなところにも彼の決意があらわれているのでは、と思ったりもする。

この日おもろかったMC:

中川「昨日夢にポール・マッカートニーが出てきた。勲章をもらったのでこれからは自分のことを「サー」をつけて呼ぶように、とポールがいうので俺はいや、ポール、そんな位階制度なんてのはくだらんもんで云々と説教をしたが、全然聞かへんねん、あのポール」・・・

1997.6.28 最終修正1997.7.22
中山貴弘

魂花レビュー