97.11.1 Shinjuku Street Live 97.11.1 新宿ストリート・ライヴ

アルバム『レヴェラーズ・チンドン』の発売に合わせた新宿での無料ミニ・ライヴ。

14時からタワーレコード新宿ルミネ店、16時から新宿西口ミロード・モザイク広場、18時からヴァージンメガストア新宿店と1日に3回のライヴが新宿で行われた。

僕が行ったのは1回目と2回目。特に2回目の新宿西口ミロード・モザイク広場では非常に意義があるハプニングが起きた。

この2回目だけはCDショップの店内ではなく野外で、ショッピングモールの中にあるステージ。つまりCDショップに来る音楽好きの人達だけではなく、道を歩いている普通の人を巻き込んでしまえるストリートでのライヴだった。

メンバーは、中川敬、伊丹英子、奥野真哉、河村博司、大熊亘、こぐれみわ、の6人。伊丹英子の到着を待って始めたので20分ぐらい押してスタートした。

実はこのライヴが始まる前にシーサーズが新宿西口にいた。踊りの練習をしようという事で公園で練習してたのだが、モノノケ・サミットの1回目のライヴを観に行ったあと2回目までちょっと時間があったので、近所でちょっと練習しようという事になった。新宿西口地下にはいわゆるホームレスの人達が生活しているダンボール村がある。この人達のお祭りである「新宿夏まつり」にはモノノケ・サミットもシーサーズも出演していて何かと縁がある所だ。練習はこのダンボール村の近くの邪魔にならない地下道の片隅を選んで行われた。

小声で歌いながら練習していると、フラフラとやってきたおじさんがいっしょに歌い始めた。どうやら、沖縄出身で踊りも詳しい人らしい。踊りのコツなどを教えてもらったりしてすっかり意気投合したシーサーズ。「16時からのモノノケ・サミットのライヴを一緒に観に行こう」という事になった。

おじさんがダンボール村で近所付き合いのある人に声をかけ、僕も新宿夏まつりで知り合ったダンボール村の人に声をかけ、シーサーズと路上生活者のおじさん4名が集団になって、新宿のこぎれいなショッピングモール「ミロード」の真ん中にあるステージに向かった。

ライヴは労働歌が多い選曲だった。途中、大熊さんがMCで、今日のライヴを観た人は新宿西口のダンボール村も一度見て欲しいという話や、新宿夏まつりの話、インフォメーションセンター前で年末年始あたりにやる越冬ライヴにも自分はぜひ出演したいと思っている、という話を熱く語った。

ダンボール村のおじさんたちはモノノケのライヴに大いに盛り上がり、シーサーズの世志恵さんが沖縄出身のおじさんの手を引いてステージに寄っていく。おじさんはリクエストがしたかったらしい。

演奏中だったのには全然かまわず(笑)、おじさんがステージに上がって大熊さんにリクエストを書いたメモを渡す。おじさんがリクエストしてきた事を喜びながらもとまどう大熊さん。残念ながらモノノケができる曲じゃない!何人かが「安里屋ユンタ!」と叫び、ソウル・フラワー・モノノケ・サミットの「安里屋ユンタ」が演奏された。

おじさんは大盛り上がり状態。ステージに引きづり出された世志恵さんと脇のほうでいっしょになって踊り、もう最高のパフォーマンス!西口ダンボール村から連れてきた他のおじさん達もすごく楽しそう。演奏してるメンバーも、思わぬハプニングを楽しんでいる様子だった。

路上生活をしているおじさん達や、ソウル・フラワーのファン、通りすがりのお客さんなどが混然一体となり、本来的な意味での生きたストリートライヴになった。

ソウル・フラワー・モノノケ・サミットとシーサーズ。両方の持っている磁力によってただの街頭ライヴを越えた空間が生まれた。素晴らしい出来事に参加できて良かったと思う。

1997.11.09 小林アツシ:Atsushi Kobayashi BXD01655@niftyserve.or.jp

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