98.11.22 Festa in Minatogawa 98.11.22 フェスタ in 湊川*

この障害者作業所復興バザーのフリマに参加するのはもう四回目になる。 前回(5月)にひき続きモノノケの出演はないものと思っていたが、一週間前に参加証と一緒に送られてきたチラシにモノノケサミットと書かれていた。当日実際に見るまでなんとなく半信半疑だった。

今回自分達にあたったフリマスペースは、メインステージから一番遠いところだった。またしてもおーまきちまきが見られなかった。そのかわり、こちらにも別の演し物があって、ハーモニカに始まりマジックだのフラメンコだの南京玉すだれに紙芝居、ミュージカル、と楽しむことができた。

中でも「学者犬トム号」がすばらしかった。スーツに蝶ネクタイのおっちゃんが引っ張る、「交通安全みんなの願い」というのぼりをたてた子供用の車に鎮座して会場を回っていた白い犬が、実はこの学者犬だったのだ。
どの辺が学者かというと、トム号はなんと数字がわかるのである。長机の上に数字のプラカードが並んでいて、言われた数字のカードをくわえ上げるのだ。のみならず、たし算もできる。えらい。かなりの老犬だが、ずいぶんがんばっていた。

そうやって喜んでいるうちに、モノノケの時間。店をたたみステージの前へ。

登場したのはいつもどおりのメンバー(最近フィドルとトロンボーンがないのがちょっとさびしい)。中川「寒いからアップテンポでせめようかと思っててんけど、やっぱりやめます」と、いつもよりどちらかといえば落ち着いた雰囲気の曲が続く。 場所柄、「カチューシャの唄」がよく似合っていた。

しかし曲が進むに連れ、だんだん演奏が白熱してきた。最近の彼らは一体どうしたんだろうかと思うくらいテンションが高い。「がんばろう」の大熊のソロはいつになく長い熱演、「さよなら港」では中川が「ワンモアタイム!」を連発、最後のリフレインを4-5回も繰り返し、あげくアンコールに応えてこの日二度目の「アリラン」が演奏された。

終演後、CD販売をしている横でお客さんを見ていた。買い物帰りに立ち寄ったらしいおばさんが、「あんまりすばらしいから全部見てしまった」と言いながらCDまで買って急いで帰っていった。ぼく自身あまりに繰り返しモノノケを見ているので時々なんだかわからなくなることがあるのだが、こういうお客さんの反応を見ると彼らの音楽が決して懐メロとしてのみ受け入れられているわけではないのだと再確認できた。

1998.12.03. 中山貴弘

魂花レビュー