99.02.13 Soul Flower Union At HMV Shinsaibashi 99.02.13 インストアイベント:HMV心斎橋

まずビデオクリップ「イーチ・リトル・シング」が上映される。 続いてメンバーが登場し、司会者とのトーク。中川の第一声「なんや、若い子おらへんな」。ステージには椅子が用意されていたのだが、中川は集まった客が気になるのか少し腰を浮かして後ろの方を見たりしていた。 ぼくは始まる30分前についたのだが、ステージ前はもう人だかりがしていた。

そのトークで記録しておくべき事といえば、クリップのことだろうか。 このビデオを監督した若松孝二というのは60〜70年代にカルトで性的&暴力的な映画を作っていた人だそう。 こうしたビデオクリップの制作は初めてだったそうで、「あいたくて〜」のところで牛が出てくるビデオを最初つくってきたので差し替えてもらった、ということだった。 歌う中川の顔がアップになる最終バージョンとどちらがよかっただろうか、ちょっと気になるところでもある。

ぼく自身はこうしたビデオクリップにあまり興味がないのだが、今回作られた若松監督の二つのビデオのうち特に「イーチ〜」はあっさりした中にも味わいがある。実はこのクリップを見るまでそんなにいい曲とは思っていなかった。よくできた映像だと思う。

なお最近、若松監督による「痴人の愛」映画化の企画があり、満開の桜の中をちんどん楽隊が「アリラン」を演奏しながら歩いている、というシーンでソウルフラワーが起用されるはずだったという。 とてもイメージがわく筋書きだと思う。 この企画が流れたのは残念。再開の予定はないのだろうか。

期待していたアコースティックライブは、「潮の道」と「満月の夕」のみ。 ベース河村、三線中川、ヒデ坊がアコギでアコーディオン奥野という構成で、メンバーも出だしちょっと遠慮気味の演奏に見えた。「潮の道」ではヒデ坊のおはやしがなかった。 会場は確かに、中川が「こっちもそっち(客)もこういうイベントに慣れてない」と苦笑するような雰囲気だったが、それでも「満月の夕」の展開につれて見物人もほぐれて行き、曲が終わる頃には静かな感動に包まれていたように思う。

よく考えると、彼らの演奏を落ち着いたところでよい器材で見る機会はない。 ライブハウスでは演奏メンバーも多く大音響だし、モノノケは野外であったり器材がよくなかったりするので。 こうやってしみじみ中川の声を聞くと、聴きなれた「満月の夕」にもあらためて感動を誘われた。

メンバーは退場し、続いて「風の市」のクリップが流される。 ライブの余韻か、結構みんな熱心に見ていた。

(1999.02.24. 99.02.25 更新) 中山貴弘

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