西尻池 モノノケ 99.8.21 西尻池高層住宅*

新長田の駅を出ると、駅前広場で大きな夏祭りをやっていた。ここのところ見たモノノケは結構大人数の集まるイベントばかりだったが、今日はそうではない。新しくできた団地の、小さな夏祭りである。3年前にこの近くで「アジアンタウン」町開きのイベントにモノノケが出たが、今日の会場にはその時に集まっていた大勢の外国人達は見かけなかった。ぼくが着いたときにはおーまきちまきが始まっていて、パイプいすが多分30ほど、やや寂しい感じがした。 続いてモノノケが登場したが、つい先日見た寿町とはうってかわって特に客が騒ぐわけでもない。たんたんと演奏がすすめられていった。

実はぼくはこういう雰囲気で聴くモノノケが好きだ。 騒いでなくても実はみんなモノノケや追っかけの若者が来るのを喜んでいるはず。現に、ぼくにしたらめずらしくやたら周りの人に話しかけられた。 出前ライブを始めた頃よくバタやんをリクエストされたから、と久しぶりの「十九の春」、「カチューシャの唄」そして「アリラン」(ヒデ坊がリードボーカルの「蜜陽アリラン」とメドレー)と長田周辺のライブでウケる曲がしみじみ歌われていった。

それでも川門正彦さんが三線とボーカルで加わって「安里屋ユンタ」「豊年音頭」「唐船どーい」が演奏されるにつれ、浴衣姿でつえをついてかなりよろよろしたおじいさんが立ち上がり、ステージの方へ歩き出した。おじいさんがいすに座っていた若いねえちゃんを無理やり引っ張り出したのをきっかけに、いす席の人達も立ち上がって踊り始めた。

ここで予定の時間はもう過ぎていたらしいのだが、主催者から「あと2曲」と声がかかり、「復興節」と「さよなら港」が演奏された。 ライブが終わると和太鼓が持ち出され、これから盆踊りが始まるようだった。

1999.8.29 中山貴弘

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