SFU 99.12.14 Big Cat 99.12.14 大阪 Big Cat

オープニングから新曲が続く。前回のツアーで遠回しに予告された通りキューンとの契約が切れインディーからのライブ盤をリリースして一週間、全作より売れ行きが好調と判明した時点での年末ソウルフラワー祭第一日目である。

ぼくがはじめてユニオンのライブをみたのは、大熊が「七人目のメンバー」として参加しはじめ、洋子と太郎をあわせた6人ががっちりかみあって「ユニオン」であった(とぼくは思っていた)頃だった。まもなく耳の不調がいわれていたヒデ坊がステージを部分的に欠場するようになり、洋子がゲスト的に見え始め、サム・ベネットやドーナル・ラニーが参加した中川のソロプロジェクトとの境界がわかりにくいライブとなっていく。洋子と太郎が脱退して「メンバーは4人」と宣言したのは昨年のこと。バンドになじんだ元ちゃんと太田恵資をはじめとするゲスト陣が加わって、ひとつの完成形と思えるライブを行った。これが今回ライブ盤として発売されたわけだ。今年5月のライブは、次の動きの始まりであったといえる。新曲が披露され、中川が洋子の持ち歌だった曲を歌った。これをぼくは「洋子が抜けた穴」と感じた。

この日は奥野と大熊が若干不調に見えたにも関わらず、「エレクトロ・アジール・バップ」の頃とはまた違った最高のユニオンを見せてくれた。EAB期のユニオンが大曲主義のひとつの頂点とすれば、これはシンプルなロックバンドの典型例ではないだろうか。中盤、大阪初登場のドーナル・ラニーが参加して、「She」「風の市」「忘れられた男」「満月の夕」「イーチ・リトル・シング」が演奏されたのがつけたしと思えた。打ち合わせが不充分らしくコードをあまり覚えていないようだったのも、ご愛嬌。続く恒例の「プチ・フラワー」(奥野+大熊)でもヒデ坊以外はステージにいて、タンゴを演奏しているあいだ中川はねっころがって何やらストリップのような(よくわかんないけど)動きをしてみせる。続いて中川が立ち上がり故・淡谷のり子の「別れのブルース」をひとふし披露すると、ライブは怒濤の終盤戦へ。P-Funkや「ソウルフラワークリーク」「知識」のフレーズを中川がラップしつつ、ヒデ坊がリードボーカルをとる「龍宮へようこそ」。中川がファンクのMCよろしく「ヒデ坊!ヒデ坊!」とやるのは、日頃のヒデ帽のおはやしへの返しなのだなと思った。これからはMC中川あるいはMCタカシと呼ばせてもらうことにする。

「エエジャナイカ」「海ゆかば」で、もうライブ終了となってもいいほど客を熱狂させた後、アンコールは「闇夜の太陽」。東京ビビンパクラブの「もうやめにしておくれ」からはじまり、間にじゃがたらの「もうがまんできない」をはさむ演奏。そしてドーナルが再登場、中川「最後は大合唱で終わろうかと思って」と、「アリラン」〜「密陽アリラン」(歌はヒデ坊)。客電が半分ついたが、さらにアンコール「おやすみ」が演奏されて幕となった。ヒデ坊はドーナルのスケジュールの都合でか、先に抜けたのだが、中川が自分の左手あたりを示しながら「この人いないとさみしいね。普段二人か三人分くらいの感じの人やからね」とつぶやいていた。

99.12.23 中山貴弘

魂花レビュー