99.12.16 渋谷 On Air East

 やってくれた、ソウル・フラワー・ユニオン。12月16日渋谷 On Air East で行われた年末ソウル・フラワー祭、大阪・名古屋と続いての3日目最終日。 新宿パワー・ステーションから会場を移して2度目の年末となる今回のライヴ。 贅沢な話ではあるが少々食傷ぎみの感が無きにしも非ず、といった最近のライ ヴに、正直そろそろ次の展開が欲しかったところ。そんなこちらの期待に見事 に答えてくれた。

 東京・大阪に於いては既にお馴染みになりつつある新曲〈Go Go フーテン・ ガール〉〈殺人狂ルーレット〉〈世紀のセレナーデ〉に加え、さらに2曲程新 曲を披露。これらの曲を聴いて感じる事は、『Electro Asyl-Bop』『Winds Fairground』からの延長にある独特の節回しと、彼らの前身バンドをも想像さ せるサウンドが巧く融合しているな、という事。初披露の曲はもう一捻りする 余地もありそうで、その過程を実際に耳で確かめる事も彼らのライヴを観る楽 しみの一つ。そんな新し目の曲を前半に配し、後半は人気ナンバーで一気に飛 ばす約2時間。

 私が興味深く思ったのは中盤のドーナル・ラニーを加えたパート。特に〈忘 れられた男〉ってこんなに格好良い曲だったっけ? と認識を新たにする部分 もあり。また、ドーナル・ラニーの弾くブズーキは、派手さは無いもののサウ ンドのリズム面を支え、ビートに独特のうねりを与えている事が、CDの音で聴 くよりも明確になっているようだ。

 更に〈龍宮へようこそ〉で見せた怒濤のメドレー展開〈Give Up The Funk 〜ソウル・フラワー・クリーク〜龍宮〜知識を得て〜Get Off Your Ass And Jam〉は、その成り立ちの類似性と共にP-ファンクがこのバンドに与えた影響、 とりわけ演奏手法の面での影響を今更ながらに感じさせる瞬間であった。

 アンコールでは、英子さんがユニオンでは久しぶりにチャンゴを携えて登場。 〈もうやめにしておくれ〜闇夜の太陽〜もうがまんできない〉〈アリラン〜密 陽アリラン〉という、前述の〈龍宮〉同様にライヴならではのアレンジで楽し ませてくれた。

 2度目のアンコールは、再びドーナル・ラニーを加えての〈霧の滴〉。終始 ご機嫌の中川、まだ喋り足りないといった様子のところを、英子さんが舞台袖 に強制連行、といった一幕も。

 今回は、アルバムの発表を以って今年一年のライヴ活動を総括、来年へ向け ての新たな始動、そんな印象を受けたライヴだった。どうやら来年も彼らのラ イヴに足しげく通う事になりそうだ。

Dec 18 1999 (c)HdK

魂花レビュー