この建物は宇杉商店といって、工芸センターの斜向いにある古い商店です。
もう12年以上ほど前のことですが、私は向かいの石橋邸(工芸センター常設展示)で働いており、
この変わった窓を見ては、「あの建物はなんだったんだろう。中に入ってみたい」
そんなふうに日々思っていました。
古くからの住人、S氏によれば「あそこは昔ミルクホールで、
ワシも付き合いで何度か行った」とのことで、中を見てみたい気持ちは強まるばかり…
私の知る限り、17年はしめっきりだったそのお店。
再び開く日が来るとは、そして、展示をさせてもらうことができるとは
夢にも思っていませんでした。
2011の年末、仕事場に知人を招いて忘年会をした時、
そのお店を借りてイベントスペースにするという話を聞き、
本当に開くんだ、本当に本当かな…と不思議な気持ちになったのを覚えています。
そして4月が来て、miitmiitがオープン、
TeNさんのライブで幕を開け、企画ごとに足を運ぶ日々が始まりました。
5月も終わりに近づいた時、「溝口さん、展示しませんか?」と言われ・・・
二つ返事でO K
少し前から空間を演出するような展示をしてみたいと思っていた所で、
内容や場所を考えていた所でもありました。
まず頭に浮かんだのは、入ったら楽しくなるようなもの、素材を充分に感じられるもの、ということ。
テーマは毛、毛の家で行こう。
それから、暑く長い夏が始まりました。
この空間をどう埋めていくか・・・
部屋の真ん中に鉄の柱がある、これをどう生かしていくか・・・
近頃気に入って使っている、ゴッドランドのくり毛で遊んでいてひらめいた。
これで毛の柱を作ろう。
土台のシートに少しずつ毛を植えていきます。
これができたことで、中心が決まり、全体が見えてきました。
中に入った時に、全く違う空間になっていること、そのためには覆える限りを覆う、
様々な毛を感じてもらう、毛、を生かすために毛感を残した仕上がりにする。
なんどもmiitmiitに足を運んで、寸法を測る日々が続きました。
思ったより縮んでしまうので、予想よりたくさん作りました(涙)
寸足らずではまずい、たっぷりときちんと覆えるように充分な長さにするには、4.3mが必要でした。
基調の白シート(表面ふわ感残し)を結局7枚(+失敗して、短くなったの1枚)
長く毛を残し、順序よく並べたシート3枚
長い毛のフリースとロールを粗い感じにフェルト化させたシートを10m(後に3枚に分ける)
白シートは一番大きな空間を覆うので、元の壁が透けないよう下地を入れてつなぎ合わせます。
家の中にたてつっぱり棒を立てて、物干竿に吊るし、重さで伸びる分をみながら大きな二枚を作りました。
ポイントになる吊りものを作って、お盆過ぎに、DM撮影をしました。
家の中にやっぱりたてつっぱりでシートをつり下げ,家の電灯に吊りものをかぶせてがんばった。
これを整えて →
9月になったら何がなんだかわからない状態になりましたが、とにかく充分な量を準備でき、
いよいよ搬入です。予備を入れて二日取りましたが、やっぱりまるまる二日かかりました。
土台に付けた大シート二枚を四人がかりで取り付け、その後は毛の柱を取り付けました。
その後、奥正面を毛足のあるシートで全体を覆います。
毛足のあるシートは軽いので直にとめ付け、吊るした状態ではぎ合わせます。
大体できてから、細かい所を詰めるのにやっぱり時間がかかった〜。
最後にステージ部分(座れるところ)にシートを敷き、角をフリースで埋めて終了。
でき上がって、ライト付けて、外からながめた所。
できました〜。できました〜。長かったなあ。本当にオープンまでこぎ着けたんだなあ…
展示篇に続く・・・>>
製作中の様子は,ブログの毛の家カテゴリーへ。
miitmiitについては、こちらを。
溝口恵子 MIZOGUCHI Keiko
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