アニメ「ザ・シンプソンズ」にザ・スミスとモリッシー(のような人達)登場


話題のシンプソンズ The Simpsons Season 32 Episode 19. Panic on the Streets of Springfield (April 18, 2021) を観た。

リサ(8歳)がストリーミングで音楽を探してて、深夜まで2988回もUnlikeを押してたら、システムが「あれもこれも嫌いなあなたにおすすめ」と紹介してきたのが80年代イギリスのバンド、クィロビー・アンド・ザ・スナッフス Quilloughby and The Snuffs の「ハンバーガーは殺人だ Hamburger Homidide」。

たちまち夢中になって思想的にも影響を受け、小学校でビーガニズムを普及させようとしたりしてると、ついには80年代のままの姿をしたボーカリスト、クィロビーが部屋に現れて、イマジナリーフレンドになってしまう。クィロビーと一緒にロックフェスに行くと、すごく太って邪悪な顔つきの、現在のクィロビーがスナッフスを従えて出て来て(←バックバンド扱いかよ)、外国人は差別するわ、ビーガンじゃなくなってるわ、客席に向けてマシンガン(弾はソーセージ)をぶっ放すわで、客が怒って暴動を起こす。

すぐ削除されそうだけど、YouTubeに抜粋があったので貼っておく。若いクィロビーが現在のクィロビーを見てショックを受けるというシーン。バックがスミスのメンバー(の現在の姿)そっくりなのも、おもろいというかひどいというか。マーとルークの立ち位置が逆だ。

なんとモリッシーはビーガンをやめちゃったのかと思って、調べたら出てきたのが、下の記事。やめてない模様。

Is Morrissey vegan? The Simpsons Quilloughby backlash explained
https://www.hitc.com/en-gb/2021/04/20/morrissey-vegan/

クィロビーにかぶれて、アーミージャケットを着て髪を立てて皮肉ばかり言うようになった(部屋にはオスカー・ワイルドみたいなポスターも貼ってある)リサを心配して両親が学校に相談に行くと、先生が「最近の子供達はストリーミングのせいで80年代に毒されてるんです」とかって、校庭を見るとブランコに乗った子供がホール・アンド・オーツを歌ってるというギャグには笑ったし、エピソード自体は、最初のストリーミングのとことか、クィロビーのくねくね踊りとか、彼が歌うスミス風やモリッシー風の歌(ザ・ラトルズか!)とか、なかなかにスミス愛を感じさせるものではあったのだがなあ。

モリッシーのレイシスト疑惑を批判するなら、それはそれでいいのだが、「昔はよかったのに今は…」みたいな扱いは、さすがに本人が怒って当たり前だし、ビーガンをやめたなんてのは名誉毀損ものだろう。

一方でモリッシー・シンパのライター達がこの回のシンプソンズはcancel cultureだと言ってみたり、cancel cultureを批判するスライドショーをYouTubeにあげたりしてるのは、どうもぼくには気持ち悪い。そういえばモリッシーは絶対レイシストなんかじゃないと主張する向きもあるが、同意しにくい。彼は最近「誰もが結局、自分の人種が好きだろ。そしたら、みんなレイシストなのか?」と発言しており、これはいただけない。

さらにアニメの脚本家からは、「確かにモリッシーっぽいけど、ちょっとロバート・スミス(ザ・キュア)とかイアン・カーティス(ジョイ・ディヴィジョン)とか、他にも色んな人が入っている」という発言があったようだ。これは良くないと思う。いや、確かにロバート・スミスも横幅がずいぶん拡大なさってますが、23歳で死んでしまった故イアン・カーティスが、もし生きてたら太ったレイシストになってるとでも言いたいのだろうか。

<おすすめ音盤>

The Smiths – Meat Is Murder (Remastered) [12 inch Analog]
このブログ記事に貼り付けた画像を見てもらったらわかるように、リサの部屋の壁には The Snuffsのレコードジャケットがかかっている、本来これは上のAmazonのリンク先のように四分割の写真であるべきだ。CDはなぜか全体をひとつの写真にしてしまってて(他にも World Won’t Listen の写真がすごくトリミングされてたりして)モリッシーが怒っているようである。で、元のデザインのジャケットが欲しかったら、日本盤の紙ジャケCDとか、LPを探す必要がある。リンク先は復刻LP。音はリマスターされていると思うけど、現物に情報が何も書いてなくて、よくわからない。